ファミレスで
ファミレスで幼い子供とそのお母さんが一緒にいるところを想像してほしい。少しやんちゃなその子供が、大好きなハンバーグを食べながらはしゃいでいると、テーブルにあったコップに手がぶつかり、コップは倒れ、水がテーブルの上に溢れてしまった。
激しく流れ出た水は、隣の席に流れ、すぐ横にいた男性に危うくかかりそうだったが、男性は素早く身をかわし、水に濡れることはなかった。
それを見ていた子供の母親は、水がかかりそうになった隣の男性にすぐにこう言った。
「すみません、大丈夫でしたか?濡れてませんか?」
男性が「あぁ、大丈夫ですよ。濡れてないですよ」と笑顔で答えると、
母親は少しほっとした顔を浮かべつつ、子供にこう言った。
「何をやっているの!ちゃんと座って食べないとダメでしょ!お兄さんに“ごめんなさい”しなさい!」
子供は親の言葉を受け、申し訳なさそうに「ごめんなさい」と言った。
日本でよくありそうな場面
このように、子供のミスに対して、親が代わりに謝るという場面はよく見かける。日本では当たり前の場面である。
親にとって、子供のミスは自分のミスと同じだからである。
子供が他人に迷惑をかけたのであれば、
「申し訳ありませんでした」
という言葉は自然に出てくるだろう。
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中国の親は謝らない
しかし、中国では親の反応が違うのだ。例えば、上と同じ状況で子供が水をこぼした場合、中国人の親は子供を叱ったり、「謝りなさい!」ということはあるだろうが、子供の代わりに親が謝る事はまずない。
仮に横の男性が濡れてしまった場合であっても、拭いてあげる事はあるかもしれないが、それでもやはり、自分は謝らない。
「なんで?それっておかしい!」
「なんで?それって親としておかしいでしょ!」と思うかもしれない。私もそう思う。
私も同じ立場なら、絶対に「すみません、うちの子が…」と謝ると思う。
でも、これは日本人の、日本の文化に基づくものなのだ。
ん?どう言う事?と思うかもしれない。
それをわかりやすくするために、以下の状況を考えて見てほしい。
友人の代わりに謝ったらおかしい
「例えば、自分が、友人2人(仮にAさんとBさん)とレストランにいたとして、Aさんが不注意で水をこぼし、Bさんにかかってしまった時、どんな反応をするだろうか?Bさんを拭いてあげるかもしれないが、Aさんの代わりに謝ることは決してないだろう。
では、なぜ謝らないのか?
答えは簡単。自分は悪くないからだ。
Aさんの過失なのに、自分が謝るのは逆におかしいことだ。
「なんでお前が謝るんだよ?」と言われるだろう。
日本人にとって子供は自分と同じ、中国人にとって子供は他人
子供の過失に対して、親が謝るかどうかは、子供をどのような位置付けで考えるかによる。日本人は、相手がいる場合、子供は自分と同じと考えるのだ。つまり、子供のミスは自分のミスと同じ。だから、謝るのが当然だと感じる。
一方、中国人は子供を自分とは別個の存在ととらえる。子供がミスをした場合、あくまで子供のミスであって、自分のミスではない。だから、自分が謝るのはおかしいことなのだ。
子供の代わりに謝らないのは、考え方が違うから。しかし…
中国人の子供が他の人に迷惑をかけた時、親が謝らなかったとしても、これは文化の違いなのだ、と言うことがご理解いただけただろうか。早とちりして、「この人は、子供が迷惑かけても、謝罪の言葉も言わない…」と思わないようにしよう。
しかしながら、必要な時に子供を叱り、子供に良い事と悪い事を教えなければならない事とは別だ。
当然、親は子供に正しい事を教えなければならない。
この点で、ちゃんとしていない親が非常に多いのは事実。とても嘆かわしい。
例えば、最初に挙げたように、子供が水をこぼし他人にかかってしまった場合、親自身が謝らないのは文化の違いなのだが、子供にはきちんと謝らせるべきだし、こぼした水は拭かせ、自分もそれを手伝うべきなのだ。
子供はそのような親の言葉と行動から、良い事と悪い事を学ぶのである。
しかし、残念ながら、中国には子供が悪い事をしても何も言わず、ヘラヘラ笑って済ます親が多数という現状があるのだ。
親に叱ってもらえない子供は、いつまでたっても、何が正しいか学べない。
親からちゃんと教育を受けられない子供たちはかわいそうだと思う、今日この頃。
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この記事へのコメント
bigpaddy
管理人
コメントありがとうございます。
そういうところからも文化や考え方の違いが見えてきますね。
まさ
たまたま自分の手机の調子が悪く微信での支払いにエラーが何度も出ました。結果現金払いに換えたのですが、後ろにいた親子連れの子供が私を突っついてきました。あわてて振り返ると、親から不好意思と言われました。子供の方は全く悪びれもしなかったですが親の一言にホッとしました
管理人
コメントありがとうございます。
そうでしたか。そういうお父さんお母さんに育てられる子供は幸せですね。