香港と深センも間にはイミグレがある
香港と深セン(中国本土)の間にはイミグレがある。香港は1997年に変換されてから「中国」ということになっているが、一国二制度という体制は変わらず、事実上国境で隔てられた二つの国と変わらない。
日本人も含む外国人が香港と深センを行き来する時には、イミグレでパスポートを出し、出国及び入国手続きをする必要がある。
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中国人はパスポートではなく、通行証を出す
しかし、中国人はイミグレでパスポートを出すことはない。法的には同じ国(香港も中国の一地域)ということになっているからである。
でも、中国人が香港と本土の出入りが自由かと言うとそうではなく、「通行証」という、パスポートに変わるものが必要になっており、これを出さないと、香港に行くことができない。
そして、通行証の使用回数は制限があるため、中国人の香港入りは外国人より事実上難しい状態になっている。
中国人は外国人より香港に行くのが難しい
例えば、外国人である日本人が中国に入国する場合、15日以内であればビザはいらず、香港も90日以内であればノービザで滞在できる。なので、深センと香港の国境はパスポートさえあれば何度超えても問題なく、旅行の回数も制限はない。
深センに住んでいる日本人が、ちょっとした買い物に香港まで足をのばすことも全く問題ないし、その逆もオーケーだ。
しかし、中国人の通行証は戸籍によっては制限があり、取得にお金がかかる上、使用回数が制限されている。
香港は同じ中国でありながら、自由に行くことができないのである。
外国人より行くのが難しいとは…。
通行証の存在を知らずに香港に行こうとする人
しかし、この通行証の存在を知らずに香港に行こうとする中国人が時々いる。香港も同じ中国なので普通に行けると思って地方から出てきて、国境で初めて通行証の存在を知る、と言う人も、いまだにいる。
今日も国境で、そんな親子を見かけた。
深センから香港に入る時
深センから香港に入る時のイミグレで、大声で泣き叫ぶ子供の声が聞こえてきた。さらにその子の両親と思われる二人が、すごい剣幕で入国管理官に罵声を浴びせている。
あまりの大きな声に、周囲の人の視線がその家族に注がれている。
何があったんだろ?
通行証がないのに国境まで来てしまった
聞いていると、この家族も通行証がないのに国境まで来てしまい、香港に入れないことに、今気づいたようだ。こんな感じの会話がなされていた。
入国管理官「通行証がないから通すわけにはいかない」 親「ここまで来たのに、行けないってどう言うことだ!!(激怒)」 入国管理官「そんなの知らない、ダメなものはダメだ。通行証を持ってまた来てください。」 親「通行証って、どうやったら取れるんだ!」 入国管理官「知らん。自分で調べてください。」 親「そんなの困る!ここまで来たんだぞ!!」 子供「あああああ!!海洋公園行きたいー!!」(超大声で泣き叫んでいる) |
泣き叫ぼうが、怒鳴ろうがどうしようもない…
この家族の背景を知ることはできないが、両親は子供を香港の海洋公園まで連れて行ってあげようと思ったのだろう。遊園地で遊べると思ってここまで来てダメだと知った子供のことを考えると気の毒ではあるが、通行証がないものはどうしようもない。何も調べずに来た親が悪いとしか言えない。
入国管理官が「無理なものは無理」と言っても、その両親は「なんとかしろ!」となかなか引き下がらず、困り果てた様子だった。
その後いつまで怒鳴っていたかはわからないが、怒鳴ってどうにかなる問題ではないので、そのうち諦めたであろう。
なぜ、事前に調べておかないのか?と疑問に思うが、イミグレでこう言う光景を時々見かけるのである。
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この記事へのコメント
bigpaddy
管理人
コメントありがとうございます。
流石にイミグレは泣いてもどうしようもないですよね。
ahnozawa
さすが中国、ともいえるでしょうか。
通行証なしで香港に行こうとする考えがすごい……親の世代なら、香港はイギリス植民地であったのだから、簡単に行けるのか疑問に持つのが普通でしょうに……海洋公園は調べているのに謎です(笑)
管理人
コメントありがとうございます。
そうですよねぇ。
でも、結構イミグレで言い争っているのを見かけます。
YS
元深セン駐在員で2008年から2014年末まで深センに赴任していました。
懐かしく、且つ楽しく拝見させてもらっています。
駐在員時代の自分も似たような場面を度々目撃しましたね。
(推測ですが)恐らく内陸出身の方じゃないですかね?
所得水準が上がって、高速鉄道が整備され、より香港にいきやすくなった分
田舎からのぽっと出の人が増えたからでしょう。
個人的にはセカンドボーダー廃止後は目撃回数が増えたイメージがありましたね。
中国人全てでは無いと思いますけど、駐在員時代に一緒に仕事をした中国人スタッフの思考ロジックや行動様式から勘案すると、この出来事は「さもありなん」ですね。
目的達成のための付帯事項に思いが至らないとか、要はもの事の見方が狭い視野狭窄ですね。
口岸管理官への罵声も、子供の可哀想さよりも、事情はどうであれ自分たちだけが香港へ出境できなくて、恥をかかされたことに対してだと見ています。
うがった見方をすれば「万事如意」よりも「依法執行」が勝った事例の一つではないでしょうか?
管理人
コメントありがとうございます。
>>口岸管理官への罵声も、子供の可哀想さよりも、事情はどうであれ自分たちだけが香港へ出境できなくて、恥をかかされたことに対してだと見ています。
確かにそう思います。メンツがつぶれることを恐れ、明らかに自分が間違っていてもそれを認めようとしない様子はよく見かけますね・・。