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香港人に言ってはいけないタブーワード
ご存知のように、1997年7月に香港は中国に返還され、現在は「中華人民共和国」の「香港特別行政区」となっている。つまり、行政は異なるが、香港は中国の一部なのである。
なので、香港に住む「香港人」のことを「中国人」と言っても間違いではない。
大阪生まれ、大阪育ちの「大阪人」が「日本人」であるというのと同じだ。
しかし、香港生まれの香港人に「中国人」とは絶対言ってはいけない。
これは香港人が嫌がる超タブーワードなのである。
香港の街
「香港人」というのが香港人のアイデンティティ
香港生まれ、香港育ちの人たちは自分たちが「中国人」とは決して認めない。イギリス植民地時代からずっと「香港人」として生きてきて、隣国中国とは全く違う発展を遂げてきた。
「香港人」というのが彼らのアイデンティティで、「中国人」と言われることを本当に嫌がるのである。
「中国人」と言われて怒り出す人もいる。
その本当の感覚は香港人になってみないとわからないが、とにかく、彼らは
「自分たちは中国人では決してない。香港人だ」
と言う。
実際に香港と中国本土は全然違う
香港と中国はそれほど違うのだろうか。確かに全然違う。というのがその答えだ。
香港は中国に返還されて20年が経ったのだが、現在も依然として香港と中国は異なっている。
別の国と言ってもいいくらいである。
例えば中国本土と香港は以下のような違いがある。
行政や法律が違う
まず行政が異なる。香港は特別行政区で、中国本土とは全く異なる行政体系、法律を持つ。
この点で全く別の国と言っていい。
車の通行は中国は右側、香港は左側で、交通ルールも違う。
税金の納め方も違う。
日本人に直接関係があることを書けば、例えば、観光旅行でノービザで滞在できる日数が違う。中国は15日までだが、香港は90日までオーケーだ。
日本とアメリカの行政や法律が違うのと同じくらい、香港と中国の行政や法律は異なる。
香港ハーバートンネル前。左側通行だ
通貨が違う
通貨も異なる。中国本土は人民元、香港では香港ドルが使われている。中国(深セン)と香港の国境付近にはたくさんの両替商が並んでいる。
言語が違う
香港の公用語は広東語、英語、中国語(普通語)である。基本的にはどれでも通じるが、香港人の母語は広東語である。
なので、お年寄りは広東語しか話せなかったり、若い人でも中国語や英語が下手な人もたくさんいる。
中国本土はどうか、というと、共通語は中国語(普通語)である。これは日本で学ぶ一般的な中国語と同じで、NHKの中国語講座などで扱われているのもこれだ。
もちろん各地で方言、なまりがある。
彼らの母語は地元の方言ということになり、地元の人たちと話すときは方言で話す。
ちなみに、中国の広東省の方言の一つは広東語で、香港人とのコミュニケーションは全く問題ない。しかし、香港の広東語とは少し表現や発音が異なるため、聞くとすぐに広東省の人、香港の人とわかる。
国籍が違う、国境もある
「国籍」という括りで言えば、香港も「中国人」である。しかし、戸籍が全く異なるため、事実上、中国人と香港人は、違う国籍であると言っていい。
例えば、香港の複利厚生は「香港人」でないと受けることができない。中国本土の年金(養老金)は「中国人」でないと貰えない。
もちろんパスポートも異なり、「香港人」と「中国人」では各国の扱いが大きく異なる。
「香港人」であれば海外旅行は日本人と同じくらい自由で、ノービザで観光旅行に行ける海外の国も多い。
一方、中国本土のパスポートを所持している「中国人」の場合、海外旅行はかなり制限される。基本的にほとんどの海外はビザがなければいけない。しかも、ビザの取得は困難で、相当お金を積まないといけない。
日本に来るにも香港人は90日までならノービザで来れるが、中国人はビザが必須である。
驚きなのが、中国人は、香港に出るにも「通行証」が必要なのだ。(一応同じ国という扱いなので、ビザではないが、事実上、他の国に行くのと同じである。)
香港と中国本土の境には、普通の国と国の境と同じように国境がある。
なので、香港は事実上別の国なのだ。
なお、香港人が中国本土に出入りするのは自由である。
この差は何…?と思うが…
マナーが違う
なぜ、各国による、「中国人」と「香港人」の扱いが違うのかというと…マナーレベルが違いすぎるからであろう。
これは詳しく書くまでもないが、中国人が海外でやらかした数々のマナー違反が各国の信用を失い、ノービザでの入国は受け入れられなくなったのだ。
実際、現地で生活していてもマナーレベルは全然違うと断言できる。
中国では(だんだん良くはなってきているが)、店内でポイ捨て&唾を吐く、並ばない、割り込み、交通機関内で大声で話す、子供に店のゴミ箱におしっこをさせる、など、開いた口が塞がらなくなるようなマナー違反見かけるが、
それは香港ではまずあり得ない。
日本の接客はかなり要求が高いので、日本から香港に行くと、接客態度が悪いと感じることもあるが、中国本土よりはかなり良い。
文化は似ている
しかしながら、香港と中国本土には多くの共通点がある。まずは文化である。
祝日や宗教、祝い事などは似ているところが多い。
また、メンツを重視する気質も良く似ていると思う。元々は同じ文化の人たちだったのである。
ルーツは同じ
香港はイギリスの植民地になり国境が敷かれ、異なった統治下に置かれた。それによって交流や物流が分断され、異なる教育も違うものだったのでここまで変わってしまったが、元々は同じ国だったのである。なので、香港人のルーツは中国人だ。
ほとんどの香港人は祖父、曽祖父の時代に中国から移民でやってきた人たちの子孫で、香港人の故郷は、基本的に広東省のどこかの町なのだ。
香港と中国本土は大きく異なる
ここまで書いてきた記事からわかるように、香港と中国本土は大きく異なる。よって「香港人」と「中国人」も確かに違うのだ。
そして、香港人は中国本土のマナーのない人たちと一緒にされることを嫌い、「自分は中国人では決してない、自分は香港人だ」と言うのである。
香港と中国のこれから
香港は1997年に中国へ返還され、50年後の2047年まで特別行政区として独自の体制を保つことが約束されている。言い換えるなら、30年後の2047年には香港は完全に中国になるということである。
果たして、どうなるのだろうか。
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【この記事はここまで】お読みくださりありがとうございます
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この記事へのコメント
bigpaddy
ペッペケ
コメントありがとうございます。
今日も中国人の“文化的”な(中国語の意味での)行動を見ました…。
ちくわ
20年後、香港はイギリスから主権返還されました。
更に20年後の今年、私は香港に一人旅します。
(知り合いの中国人の職員からWeChatで助けてもらいながら…)
30年後の話ですね。
ですが、完全に中国のものになるのは難しいかもしれませんね。
自治権がかなり高度ですし、行政管理権、立法権、司法権など変えるのはとてもむずかしいと思います。
今の中国なら無理やりやるかもしれないという感がありますが、果たして30年後も中国が強国であるかどうか、はわかりませんね。
自治はずっと残るだろう、とは思いますが…
ペッペケ
コメントありがとうございます。
30年前の話お聞かせくださり、ありがとうございます。
今後30年後、どうなっていくのでしょうか。興味深いですね。
SZMrL
ペッペケ
コメントありがとうございます
私も同感です。香港は大陸とやはり違いますね。
WL
香港某銀行に用事がありました。深センから上水経由でバスに乗ってきてやっと降りました。さぁ銀行で手続きするためにパスポート出そうとしたらありません...
落としました...\(^o^)/
早速Googleマップで近くの警署を探して、中国語で(私は基本英語と廣東語不可)パスポート失くしたと言ったのですが、相手にしてもらえず日本領事館の電話番号を書いた紙を渡され、追い出されました。
遡ること2時間前に深センから香港へ入国。上水からバスに乗ったので、落としたとすればどちらかのバスだろう...(と思ってました)
とりあえず、オクトパスあるので上水の警署へ行こうとMTRに乗って数駅行ったところで知らない人からFacebookのコンタクト申請が来ました(知らない人は承認しないので削除)。同時にメールが届きました。
「Hi, I will randomly find your contact in facebook. Did you lost your passport in ○○? I just saw a passport in ○○ which should be yours!
I couldn't find the police, so I give it to the post office in ○○!
Maybe you can go to find the post office officer to get it back or they will send it to police office which you can go to police office as well!! 」
こうして紛失からたった2時間で香港人のおかげで奇跡の生還を果たしました。
これが大陸人だったらどうでしょう。警察署にすら届かず捜索が難航したかなw
管理人
すごいエピソードですね。
いい人に拾われて良かったですねぇー!
それにしてもパスポート落としたらぞっとしますね。
WL
それと、パスポートですがバスの中で落としたのではなく、着いた先の交差点で落としていたそうです^^;
管理人
もし見つからなかったら日本円で10万円は飛んでいたでしょうね。
海外生活でパスポートは本当に重要ですね。
私も無くさないよう気を付けたいと思います。