農民房
中国深センで家を探すために不動産屋を当たると、「小区的?还是农民房的?(小区の家?それとも農民房?)」
と聞かれる。
最初はどういうことなの?と思うはず。
日本ではない家の分類なので、説明したい。
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小区とは?
小区とは、部外者の出入りが制限される高級マンションである。マンションのエリアはぐるっと塀で囲まれており、数か所の出入り口からしか出入りできない。そして、出入り口には24時間保安員が常駐している。
日本ではほとんど見かけないシステムだ。
「小区」は、一般的には「花園(簡体字では“花园”)」と呼ばれ、そのことからわかるように、マンションの下は綺麗に造園されているのが普通である。
普通、日本人を含む外国人が住むのはこの「小区」になると思う。
外国人が家を探す場合、「農民房」を進めてくる不動産屋はまずいないと思う。
「小区」は綺麗に整備されている
農民房とは?
では農民房とはどんな家なのか。簡単に定義を言うと、「地元の人たちが勝手に建てた家」である。
勝手に?
どういうこと?
そんなのいいの?
と思うが、それがこの国のすごいところなのだ・・。
関係機関の認可を受けず、地元の人たちが自由に建てた家の事を「農民房」というのである。
日本ではありえないことだが、中国ではたくさんあるのだ。
深センの全人口の半分くらいは農民房に住んでいるのではないだろうか。
「農民房」。「小区」と比べると雰囲気の違いは明らか
勝手に建てた家?
もちろん勝手に建てた、と言っても、建築の経験や技術がある人が建てているので、まず倒壊するようなことはない。上記したように普通にたくさんの人が住んでいるし、外国人が住んでいる場合もある。
しかし、関係機関の認可を受ける必要がないので、建築基準を満たす設計がされていないことがほとんどである。
もし地震があったら、ちょっとの揺れでも崩れる可能性は否定できない。
「小区」の家に比べると、明らかに設計が甘いのは間違いない。
農民房のメリット
ではなぜ農民房に住む人がいるのか。それは家賃の安さだ。
それに尽きるだろう。
作りが甘い分、当然ながら「小区」の家と比べるとはるかに安いのである。
同じエリアにあっても農民房だと小区の半額くらいになったりする。
「農民房」って本当に大丈夫なの?と心配する人もいる。
しかし、「小区」のマンションは絶対安全なのか?ちゃんと施工されているのか?・・というと答えに困る。
建築基準が厳しい日本でも建築偽装が問題になったことがあるのだ。
そもそも、この世に「絶対安全」というものは絶対ないし、ましてやこの国ではなおさらのことのような気がする。
確かに、地震などの災害があった場合はやばいかもしれないが、滅多に起こることではない。(深セン、香港エリアでは地震はほとんど起きたことがなく、地震を体感したことが無い人がほとんど)
それで、敢えて安い農民房に住むことを選択する人も多いのだ。
農民房のデメリット
では農民房のデメリットはどんなものがあるのか。上記した設計の甘さ、倒壊のリスクが小区よりは高いということ以外に以下が挙げられる。
環境が悪い
まず、環境が悪いところが多い。建物の作り自体がきれいでないところが多い。
また、安い家に住んでいる人は必然的にマナーが守れない率が高いため、ごみが多い。
この点で、小区とはかなり差がある。
ゴキブリ、ネズミも多い
衛生レベルが低いとなると、当然増えるのがゴキ様とネズ様である。もちろん彼らはどこにでも出没するが、衛生レベルが低くなればなるほど多くなる。
停電、断水が多い
また、停電、断水も多い。小区も日本に比べると停電、断水の可能性がはるかに多いが、まだ事前に張り紙されたりするのでまだマシである。
農民房の場合は、いきなり水が出なくなったり、停電になったりすることは当たり前で、住民も別に驚かない。
治安も少し悪い
小区は保安員がおり、監視レベルが高い。一方農民房は保安員がいるところもあるが、実際はほとんど自由に出入りできる。
泥棒などの被害の可能性が高い。
エレベーターがないところも多い
7~8階建ての農民房でもエレベーターが無く、階段であることが多い。4階くらいまでならいいが、それを超えるとなかなか辛いと思う。
・・・と、デメリットはこんな感じだろうか。
農民房でもきれいなところがある
一般的に言って、「農民房」というと上記のようなイメージである。しかし、「農民房」の定義は「地元の人たちが勝手に建てた家」であって、「しょぼい家」ではない。
関係機関の認可を受ける必要がないので、程度の低い家が絶対的に多いのは事実だが、結構きれいなところもある。
中には20階を超える高層マンションで、マンション下は緑化されているような農民房もある。
農民房に住むべきか
さて、まとめである。中国で農民房に住むべきだろうか?
答えは人それぞれだろう。
メリットは何と言っても安さだ。
そして、え?ここ本当に農民房?と思えるような結構きれいなところもあるので、受け入れられるなら選ぶのもありだと思う。
気になるのは設計強度が不十分で倒壊などの重大な事故が生じるリスクだが、地震が起きない限り、まず倒れることはないだろう(と思う)
家の値段が上がれば、環境、安全、広さ、すべての面で良くなり、安くなればその逆だということなのだ。
結局は自分のニーズに合わせて家を探そう、ということになるのかな。
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この記事へのコメント
PMZ
選択が難しいですね・・・ということはなく、その人の経済条件や中国経験などで自然に決まってしまうものなのかもしれません。
私などは農民房に慣れてしまっているので、経済条件が比較的良い時でも農民房を選択してしまっています。一度は花園に住んでみたい気もしますね。
もし子供がいたら、花園で決定でしょうね。
私が住んでいる農民房は大家が建物の半分を自宅に使っていることもあって、比較的しっかりしています。
家賃は10年以上ずっと700元でした。48平方メートルあって、かつ周囲に大きなデパートがいくつもあり非常に便利でした。昨年はすぐ近くに地下鉄がやってきてさらに便利に・・・と思っていたのですが、良いことばかりは続かず、来月から家賃が200元アップで900元になるそうです(それでも安いですけどね)。
ペッペケ
コメントありがとうございます!
今の深センで900元はかなり安いですね。
農民房にも色々ありますので、環境など良ければありだと思います。
私は深圳に在住経験がありませんが農民房、小区の事は初めて知りました。
17年前、日本在住の中国人女性が、東広州に買った家に行くと行ったので初対面にも拘らず「私を広州へ連れて行って!」とお願いして列車に乗って東広州へ…
駅前は未だ開発初期か、舗装されてなく土埃が立っていました。彼女と私だけがカラーの世界。まわりは土色のTシャツ姿の人ばかりでガン見された記憶があります。
お兄さんが迎えに来て走るに連れウィンドウは土色で見えなくなり、水を出してワイパー使わないと見えない状態の時代でした。
少し舗装路が見えた所が富裕層のエリアだったのでしょう。「風花園」って書かれていた様な記憶です。
ゲートが3つあり、スーパマーケットのエリア、カラオケやレストランのエリア、そして3階建ての家が綺麗に街路樹と並んだ居住区になっていました。
通って来た所と別世界です。
帰りは1人、深圳行きのバスに乗せてもらったのですが、広州から深圳特区エリアに入るイミグレが有りましたが今でも存在しますか?
突然皆んなバスから降りるので、私も降りたらイミグレーションだと気付き急いで外国人の方へ、私以外中国人で、早く通れたのは良いのですが、乗って来たバスが、イミグレーションの先でまた乗せる為待っていました。
私は全くシステムを聞いておらずどのバスだったのか冷や汗💦ものでした。全員乗って無いのにバスが出発してしまったからです。
私が置いていかれたら言葉も話せずどうなっていたのかと怖い反面、懐かしい思い出です。
小区花園納得しました。農民房は、古い香港のイメージが有りますが現代的な家がある事を知り、深圳に住んでみたくなりました。今の日本きついです。
HANABOTAN
すみません名前書かないうちに押してしまいました。
ペッペケ
コメントありがとうございます。17年前ですか…。その頃の深センは今とは全く違う状態で、おっしゃるように白黒の世界だったと思います。でも、良い思い出だったという感じが伝わってきます。書き込みありがとうございます。
ちなみに、以前は経済特区に入るために身分証明書の提出が必要でしたが、今は自由に入ることができるようになっています。
bigpaddy
今は宝安に1200元弱の部屋を確保して週末に使っています。エアコン、水道、電気、トイレ全て込みです。だってビジネス格安ホテルでも約150元だし、毎週ホテル予約が面倒だし。と言う事ですね。(^^)/
ペッペケ
毎週使うならホテルの予約なども考えると1200元の部屋を借りるのもありですね。
^_^
コメントありがとうございます!