日本語が上手な中国人
香港、深センにも日本語が上手な人が結構いる。日本語の学校も多く、多くの中国人が学んでいる。
趣味で学んでいる人も多いようだが、ビジネスのためにストイックに学んでいる人も多い。
能力があり、目的もあるため、日本に一度も行ったことがないのに日本語で全く問題なく意思の疎通ができる人もいる。
自国にいながら外国語を話せるようになるとは…素直にすごいと思う。
しかし、もちろん彼らにとって日本語は外国語なので、日本人のように話せるようになるには難しい。
母語干渉
母語以外の第二言語を学ぶ時、多かれ少なかれ母語の文法が第二言語に影響するものである。これは「母語干渉」と呼ばれ、第二言語の誤用につながることがある。
例えば、こちらで説明したように、日本人がが中国語を話す時に「也」を間違いやすいのはその典型的な例だ。
明らかに日本語の文法が中国語の文法習得に負の影響を及ぼしている。
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中国人が間違いやすい日本語「の」の誤用も母語干渉
もちろん、中国人が日本語を学ぶときも似たことが生じる。例えば、相当上手に日本語を話せる中国人も日本語の「の」の使い方を間違ってしまうことが多い。
こんな感じである。
美味しいのラーメン
「美味しいのラーメンです。」「かわいいの猫です。」
このように「の」を不必要に入れてしまう誤用は本当によく聞く。
きっと、知り合いに日本語が話せる中国人がいる人は「あー確かにそうだね」と思っていただけるに違いない。
美味しいのラーメン?
もちろん、会話をしているときに中国人が間違った日本語を使ったからと言って、話の腰を折り、その場で相手の日本語を正すのは失礼なことなので、してはいけない。
しかし、様々な機会に日本語について聞かれたり、教えてあげたりすることともあると思う。
その際に、日本語の「の」は中国人にとって間違いやすいと教えてあげてほしい。
なぜ間違うのかを理解する
中国人は日本語の「の」をなぜこれほど間違うのかというと、それは上記したように中国語の文法と日本語の文法が違うからだ。具体的にどう違うのか、以下の4つの文章を例にして説明したい。
1、日本の本 2、有名な本 3、面白い本 4、私が買う本 |
なぜ4つの例文をあげたかというと、名詞は4種類の品詞で修飾されるからだ。その4種類とは(名詞、形容動詞、形容詞、動詞)である。
1、日本の本(「日本」は名詞) 2、有名な本(「有名」は形容動詞) 3、面白い本(「面白い」は形容詞) 4、私が買う本(「買う」は動詞) |
意識したことがない方もいるかもしれないが、日本人は無意識にこれを使い分けており、「面白いの本」などとは決して言わない。母語の感覚ってすごいと思う。
では、この4つの例文を中国語で言うとどうなるかを見てみよう。このようになる。
1、日本的书(「日本」は名詞) 2、有名的书(「有名」は形容動詞) 3、有意思的书(「有意思(面白い)」は形容詞) 4、我买的书(「买(買う)」は動詞) |
見てわかると思うが、中国語は日本語とは異なり、4種類の品詞(名詞、形容動詞、形容詞、動詞)のどれで修飾する場合でも「的」でつなげるのである。
そして、多くの中国人が「の」=「的」だと誤解して覚えているため、中国語の「的」を日本語にする時にそのまま「の」と訳してしまうのである。
例えば、こんな感じである。
「好吃的拉面」 ↓ 「好吃=美味しい」「的=の」「拉面=ラーメン」 ↓ 「美味しいのラーメン」 |
「美味しい」は形容詞なので、「の」は使わないのが正しいのに、中国語の「的」をそのまま「の」と訳してしまうので、このような間違いが起きるのだ。
どうやって教えるか
では日本語を教える機会がある時、「の」の使い方についてどう説明すれば良いだろうか。まず、名詞を修飾するのは4種類の品詞であるということをわかってもらう。
そして、中国語ではどんな場合も「的」を使って修飾するが、日本語で「の」を使うのは、名詞の時だけだということを強調しよう。
最初はなかなか慣れないが、すでに日本語が話せるレベルの人ならすぐに「の」の間違いを修正できると思う。
日本語に目を向けると、外国語の上達に役立つ
今日の記事は日本語に関する記事だった。中国人に日本語を教える機会がない方にとっては役に立たない記事だったと思うかもしれない。
しかし、母語である日本語に注意を向けて、分析してみると結構新しい発見があるものである。
日本語の文法を理解できると、外国語の文法の理解につながったたりして、外国語取得に役立つのである。
【この記事はここまで】お読みくださりありがとうございます
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