中国本土での銀行開設、今は結構難しい
今日は中国本土の銀行開設についての記事である。以前書いたように2017年1月1日から共通報告基準(CRS)という取り決めが開始され、世界中の銀行口座の開設が難しくなった。
この取り決めの目的は、簡単に言うと、マネーロンダリングや脱税などの不正を防ぐためだ。
■2017年から香港HSBCの銀行口座開設が面倒になった。共通報告基準(CRS)とは?
中国本土も他の国と同様に、2017年に入ってから銀行口座の開設がかなり難しくなったのである。
2016年までであれば、パスポートさえあれば誰でも口座を開設する事ができ、中国日帰り観光旅行のついででも、問題なかった。
2017年になったばかりの時は過渡期で案外簡単にいける場合もあったが、徐々に厳しくなり、2018年になった今はかなり難しい。
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中国の電子マネー事情。物乞いの人も?
銀行口座の話をする前に、中国の電子マネー事情について少し書いておきたい。中国では今、電子マネーが発達しており、利用していない人はほとんどいないと言って良い。(微信支付(ウィチャットペイ),支付宝(アリペイ)という電子マネー会社、2社が有名だ。)
電子マネーを使っていない人は、日本で携帯電話を持っていない人くらい珍しくなっている。
道端のお店を含め、どんな店でも電子マネー決済が可能なため、現金を持たない人も多くなっている。
スキャンするだけで簡単に支払いが可能
電子マネーのことで、最近驚いたことがある。深センには物乞いの人(乞食の人)が結構いるのだが、なんと、プリントアウトされたQRコードを地面に置き、お金を要求していた。
乞食の人まで電子マネーを使うとは…驚きである。
ということで、中国では、電子マネーが使えないとかなり不便な社会になりつつあるのだ。
現地の銀行口座の必要性
では、現地(中国本土)の口座がないとどんな不便があるだろうか。不便1、電子マネーが使えない
電子マネーのチャージは銀行口座から行うので、銀行口座がなければ、電子マネーが使用できない。これはかなり不便である。電子マネーの各種割引の恩恵にもあずかれない。
電子マネー同士でお金やりとりは簡単にできるため、もし、銀行口座を持っている親しい友人がいれば現金を渡し、電子マネーと交換してもらうこともできるが、ずっとそうするわけにもなかなかいかないだろう。
不便2、モバイクなど、各種サービスが利用できない
今中国で大流行りしている、モバイクなどのレンタル自転車は電子マネーで支払うため、利用できないことになる。モバイクが使えない
また、タオバオなどのネットショップの利用もできない。
日本でいうグルーポンのような共同購入サイトもあるが、利用不可。
普通のレストラン、小売店でも現金は受け付けないという店も増えてきているが、そのような店の利用もできない。
不便3、現金は家に置いておくしかない
銀行口座がなければ、現金は家に置いておくしかない。ある程度まとまったお金だと結構不安かもしれない。
中国の泥棒はなかなか技術力が高く、(または怖いもの知らずで)20階を超えるような高層階でもスパイダーマンのように壁を登って侵入することもある。
日本人の口座開設を手伝った
ということで、中国で銀行口座を持つ必要性は以前にも増して高くなっている。短期旅行ならまぁいいと思うが、数ヶ月以上滞在するなら、口座がないとかなり不便を感じると思う。
最近、口座開設の手伝いのため何度か銀行に行ったので、その報告と考察を書きたい。
某銀行の開設申請書
旅行で来ただけだとほとんど不可
まず、2018年の現在、観光旅行で来ただけの方の口座開設はほとんど不可だと言えると思う。開設の明確な理由がなければ無理だ。
パスポートだけを持っていき、
「電子マネーが使いたい、タオバオで買い物したい」
このような理由ではほぼ門前払いで、全く受け付けてもらえなかった。
理由があれば開設できる
一方、明確な理由があれば開設が可能だ。例えば、仕事や出張の証明、居留証明、留学の証明などの書面のコピーだ。
ある程度の期間、中国に住むことを証明でき、銀行口座が必要なことが証明できればよい。
今回は居留証明を取得してもらい、無事に口座の開設ができた。
居留証明は、住んでいる管理区に行けば無料で取得できる。
「パスポートを持っていき、銀行口座開設のために一部欲しい」と言えばすぐにくれるはずだ。
今回はパスポートと居留証明、現地の電話番号が使える携帯電話を持って行き、開設が無事成功した。
香港は2017年から日本のタックス番号を要求されるようになったが、今回行った某大手銀行では特に求められなかった。
無事開設成功できた!
やはり、担当者次第
しかしながら、中国は決まりや方法が統一されておらず、ある程度の指針はあると思うのだが、やはり担当者次第だと思う。全く同じ書類を持っていっても、担当者によっては開設を断られることもあるし、問題なく開設できることがある。
例えば、ある銀行で、「パスポート以外に身分を証明するもの、例えば国際免許証、不動産の登記証明などはないか?何かほかに証明するものがないとダメだ」と言われたこともある。
現在、パスポートだけではほぼ開設は難しいのだが、上記のような書類をできる限り用意しておき、いくつか銀行を当たってみたら案外いけるのではないかという感触である。
香港の銀行はおそらくもっと厳しい
しかし、これは中国本土に限ってのことだ。香港は2017年以降、きっちりと書類を出さなければ開設は不可となった。
詳しくはこちらを見てほしい。
■2017年から香港HSBCの銀行口座開設が面倒になった。共通報告基準(CRS)とは?
上記情報が参考になれば幸いである。
【この記事はここまで】お読みくださりありがとうございます
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この記事へのコメント
WL
Wechat Payだと人づてならチャージ可能で、それをアテにしている日本人旅行者が多いようです。
ただ、4月からアリペイ・Wechat Payを使ったQRコードスキャンの決済が1日500元までに制限されるなど動きの早いこの中国では生きていくのは大変ですね。
WL
ペッペケ
情報とコメントありがとうございます!
日本から来る方には嬉しいサービスかもしれませんね。
おっしゃるように、変化は本当に早いです。付いて行くのがなかなか大変です。
σ^_^;
bigpaddy
ペッペケ
コメントありがとうございます。
すでにで口座が開設されているのに就労ビザの提出を求められたのですか?
それはちょっとびっくりですね。その場合はパスポートで本人確認だけで良いような気がするのですが…。
やんこ
一つ教えてください!
居留証明は管理区に行けば簡単に取れるとのことですが、
具体的になんという省庁にいけばいいんでしょうか?
よろしくお願いいたします。
管理人
コメントありがとうございます。
お住みの地区を管理している事務所はないでしょうか?
⚪︎⚪︎社区管理中心
などという名称です。
やんこ
管理人
コメントありがとうございます。2018年に入ってから特に厳しくなり、正直なところ、旅行者はなかなか難しいと思います。
ただ、まだ決まりが完全に統一されていない感じで、窓口担当者次第というところもあります。
同じ資料でも門前払いだったり、すんなり開設できたりします。また、強気に言ったら開設できたという話もききます。
居留証明は住んでいないと取れないと思いますが、臨時滞在証明、また、もしあれば口座開設の必要性を示す証明などいろいろ準備してアタックすれば、もしかすると開設できるかもしれません。
やんこ
管理人
うまくいくといいですね!
WL
よって、今後中国に関わりたい人はより口座を開設する必要性が高まるわけですが...
私はまだ何枚もアクティブな(パスポート再認証がまだいらない)銀行口座を持っているからいいのですが、全くない人はこの2019年どうやったら開設できるんだろうかとふと疑問に思ったりw
管理人
コメントありがとうございます。
そうですね。これから開設しようとする人はかなり大変だと思います。
要求する文書が担当者で変わるということもあるので厄介ですし…。